リメイク

DSC_0792リメイクは、基本的にクリーニングから始めます。裏地を剥がし、クリーニングし、劣化した部分を取り除き、状態の良い部分をリメイクの素材として取り除きます。

全ての作業には、メリットとデメリットが伴います。クリーニングのメリットは、第一に綺麗になること。そして、少なくても現状よりも軽く柔らかくなることです。デメリットは、第一に破れることです。そしてもう一つ、どんなに大切に保管されていた毛皮であっても、20年、30年前のもので、まして個人保管のものであれば、カビや虫が付着していないという保証はありません。その状態のものを、工房や工場に置きたくないということです。

工房には、大切なお客様からお預かりした商品もあります。また各種原皮やカシミア等の反物など、大切な素材が保管されています。そのため工房は常に温度と湿度を保ち、各所に専用の防虫防カビ剤や、レモングラスの石鹸を入れた袋を吊るし、更にレモングラスをベースとしたアロマを焚いています。レモングラスは、防虫防カビ効果が期待できます。身に纏うもの、まして首周りに付けるもの等は、臭いも大切な要素です。

DSC_0798いくら効果があってもショウノウの臭いは個人的に受け入れられず、効果が期待でき、香りも良いアロマを特注し焚いています。概ね破れてしまいそうな状態のものはリメイクそのものをお断りしています。破れるデメリットをご理解いただき、クリーニングに応じていただける毛皮のみリメイクさせていただいております。

そもそも沢山のリメイク品を見てきましたが、どことなくカビ臭く、固い状態でドレーブも出ない様な古い毛皮を、形だけ変えても、素敵なアイテムにはなりません。折角、手を加えるわけですから、形を変えるだけではなく、質感も良くしたいと取り組んでいます。見て綺麗で、しかも触っても素敵な感触。それが毛皮だと思うからです。

さて、良い状態の部位をリメイクの素材として取り分けました後、その分量を目安に、お客様とアイテムを決定していきます。工房には沢山のリメイクサンプルがあります。サンプルにはパターンとトアルがありますので、サンプルをご試着いただき、サイズ等を確認し、裏地やボタンを決め、リメイクを承ります。独自のデザインも承ります。デザインを決め、そのデザインを具現化すべくパターンをメイキングします。それをシーチングにドレービングし、ご試着いただきます。必要に応じ修正を施し、完成したトアルをもとに、再度、パターンメイキングし、リメイクに取り掛かります。面倒なようですが、服を作るための当たり前の工程で当たり前の作業を進めます。

アップリメイクの工程では、必要に応じレットアウトのし直しを施します。即ち、数ミリの細さにカットされ縫われている、例えばミンクのプレートを、一旦解いて縫い直します。

最近、レットアウト不要論の様な話を耳にする事があります。確かに重くなりますし、工賃もかかります。実は原皮のロスもあります。弊社も新しく製作しているアイテムは、スキンオンスキンや、レザーリング、セミレッタが主流で、フルレッタすることは殆どありません。

しかし、綺麗にレットアウトやレットインされたコートはキャラクター(背筋)が一直線で、滑らかな凹凸があり、ドレーブも美しく気品があります。何よりもリメイクの対象となるコートの殆どがレットアウトまたはレットインされたコートやジャケットなどです。そのコートを、切り張りして形を整えても、見る人が見ますと粗が目立ちます。

果たしてオリジナルよりも品質が向上したのか、極めて疑問です。結論から言えば、レットアウトされているアイテムを綺麗にリメイクするためには、高度なレットアウトの技術が必要不可欠です。レットアウトの技術が無くてレットアウトをしないのと、技術はありながら敢えて使わないのとは雲泥の差が生じます。

毛皮はあっても無くても良いものです。だからこそ、出来る限りこだわり、綺麗に作ることが大切だと思います。

写真のコートは、25年以上前のグラマーのロングコートからリメイクしたものです。外観も何とか合格点ですが、オリジナルに比べますと、軽く柔らかく、着心地は格段に向上しました。リメイクサンプルの一つとして工房にございます。


製作前のクリーニング

reform-photo00古い毛皮のクリーニングには「破れるリスク」が伴います。それでも当店は、リメイク前のクリーニングをお薦めします。
毛皮は全く着用していなくても、湿気の吸収発散を繰り返し経年劣化します。リメイクのご相談対象となる毛皮の殆どが古いコートです。
何十年も前の硬くなったミンクのコートも少なくありません。リメイクの場合、この古いミンクのコートが素材です。
素材が古めかしく硬い状態であれば、形だけを変えても、素敵なアイテムにはならないと考えます。
決して、新しい原皮の様な質感にはなりませんが、クリーニングをすることで、現状よりは、多少なりとも「綺麗に・柔らかく・軽く」なります。
このことは、「破れるリスク」に勝る「素材の質を高めるメリット」と考えます。概ね破れてしまいそうなコートのリメイクはお断りします。
部分的に危険がある場合は、ご説明の上ご納得いただけましたら、破れた部分を取り除き、綺麗な部分のみを使用してリメイク致します。
クローゼットにしまわれたままのコートは可哀そうです。リメイクはその古いコートを救済する一つの大きな選択肢ですが、リメイクしてももう一度、クローゼットにしまわれたままにするような、実用的でないリメイクでは、もっと可哀そうです。

クリーニング代も含めて、リメイクの予算は10万円以内を目指しています

リメイクの素材は、当然、経年した毛皮です。同じグレードの毛皮であれば、新しい原皮で作る新品ほど一般的に良いものは出来ません。
毛皮のグレードと状態にもよりますので一概には言えませんが、リメイクに新品が買えるほどの予算を注ぎ込むことはお勧めできません。
「こんなに高いのなら新しいのが買えたのに」と悔やまれることがないよう、ご提案致します。
細部に拘ったオリジナルデザインのオーダーには、パターンの製作費が必要となります。一方、弊社にあるデザインサンプルよりお選びいただいた場合、
サイズのみ変更可能な「パターンオーダー」となりますので、パターンの製作費は不要です。クリーニング代を含めまして10万円(税別)以内でリメイクできるようご提案致します。
それ以上の予算が必要なご要望がございましたら、別途ご相談させていただきます。また実用的な各種小物のサンプルもご用意しております。

最後に、リメイクは「実物を当店までお持ちいただける方」「余裕をもった納期をご了承いただける方」のみ承らせていただきます。
冬は毎年必ずやって来ます。1年後の準備をゆっくりしてみようかなという方は、是非ご相談下さい。最後までお付き合いさせていただきます。
「スローファッションしてみませんか!」

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ショールのリメイク例です。
古く劣化したミンクのコートから、状態の良い部分のみを使用しリメイク致しました。

まずクリーニングを行ってからリメイクをしたので、柔らかくなりました。
コートの裏に貼られていた古いドミット(キルト芯)や接着芯も取り除き、新しく仕立て直しましたので、軽さも感じていただけます。裏地には毛皮のお色に合わせたキュプラを使用しました。
留め金の位置もご自由にお選びいただけます。

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鞄のリメイク例です。
パターンオーダーですので、縦・横・マチの大きさの変更が可能です。